ドラマ感想

多文化共生のリアルを描く「東京サラダボウル」

berry

1月期の新ドラマが続々と放送されはじめましたね。

皆さんはどのドラマを見ますか?何を見ようかな、どれがおもしろいかな?と考える時間が楽しいですね

私の今期の推しドラマは「東京サラダボウル」になりそうです。

日本語教師や多文化共生、国際交流などに興味のある方にぜひおすすめしたいドラマです!

「東京サラダボウル」とは?ドラマの概要とあらすじ

「東京サラダボウル」は大人気漫画『クロサギ』の著者・黒丸氏による新作漫画『東京サラダボウルー国際捜査事件簿ー』をドラマ化した作品です。

『クロサギ』といえば、山下智久さん主演で、ドラマ化もされ、映画にもなりましたね。

詐欺師を詐欺にかけるという珍しいテーマで、詐欺の手口を細かく見せてくれたりするので、作品のリアリティや教育的側面が高く評価されています。

今回の「東京サラダボウル」も、在留外国人をめぐる日本社会の現状をリアルに映し出してくれるのではないかと期待しています!

「東京サラダボウル」はいつどこで放送している?

NHK総合で、毎週火曜日夜10時から放送中です。

2025年1月19日現在、第2話まで放送されています。

  • 2025年1月7日(火)〜 全9回
  • NHK総合 毎週火曜日 22:00〜22:45
  • NHK BSP4K 毎週火曜日 18:15〜19:00
  • [再放送] NHK総合 毎週金曜日 0:35〜1:20 ※木曜深夜

NHK+でも見られます!https://plus.nhk.jp

誰が出演している?

主人公の警察官、鴻田麻里を演じるのは、奈緒さん。

相棒の通訳者、有木野了に松田龍平さん。

有木野の同僚役で、イモトアヤコさん、メンディーさん、武田玲奈さんなどが出演されています。

「東京サラダボウル」のあらすじ

警視庁の中国語通訳人・有木野了は、容疑者聴取を終えた昼下がり、新宿のど真ん中で“サソリ”を食らうミドリ髪の女性を目にする。その風変わりな女性、実は国際捜査の警察官・鴻田麻里だった。外国人も日本人も関係なく、ぐいぐい人への興味を示す鴻田に対し、できるだけ他人と距離を置きたい有木野は、とても異なる者同士。だが、失踪した観光客の捜索から、国を跨いだ密輸ビジネスに至るまで様々な案件の捜査の合間、各国の食を共に食べるうちに、“胃”の合う絶妙コンビに変化していく。ある時ふたりは、オーバーステイになった在日外国人を狙う「ボランティア」なる組織と対峙する事に。それによって“パンドラの箱”は開き、鴻田は有木野が過去に抱えていた衝撃の悲しい出来事を知り始めていく・・・。

NHK Webサイトより https://www.nhk.jp/g/blog/qjpm3xgtsiig

日本で起こっている、または起こり得る外国人に関わる犯罪を通して、在留外国人たちの人生にスポットをあてていくようです。

第1話でもチラッと映った有木野の過去も気になりますね。

「東京サラダボウル」タイトルに込められた意味

第1話で鴻田がこのように話していました。

東京はさあ、人種のサラダボウルだよ。

人種が溶け合う「るつぼ」じゃなくて、いろいろ違う人たちがそのまま存在してる「サラダボウル」。

「東京サラダボウル」第1話より

「人種のるつぼ」も「人種のサラダボウル」もアメリカ社会を表す言葉として使われています。

以前は外国からアメリカに来た移民が、アメリカ社会に溶け込み(同化し)生活していく「人種のるつぼ」という言葉がよく使われていました。

しかし、今は移民たち個々の個性や文化を大切にし、同化でも分断でもなく、お互いがお互いを尊重する社会(多文化主義)として「人種のサラダボウル」という言葉で表されているようです。

東京でも今や約70万人という在留外国人が暮らしています。

その一人一人に個性があり、文化があり、そして人生があります。

「東京サラダボウル」というタイトルには、この「東京」というサラダボウルの中にいる、一人一人に注目し、尊重しようという意味が込められているのではないでしょうか。

ドラマが教えてくれること:在留外国人のリアル

在留外国人のリアルという視点から、私が気になったことをいくつか挙げたいと思います。

先輩中国人から新参者中国人へのゴミの分別教育

ドラマの冒頭で描かれた部分です。

よく外国人と日本人の間で問題になる「ゴミの分別」。

日本に住んで間もない外国人たちからよく「ゴミの分別が大変だ」と聞かされます。

自治体によって捨て方も違うし、細かさも違う。日本人でも守れていない人もたくさんいるでしょう。

そんな中、ゴミ捨て場に書かれた中国語での注意書き。そして先輩から「郷に入っては郷に従え」ということわざで諭された後輩中国人。

先輩は外国で暮らすことがどういうことなのかをしっかり後輩に教育しているし、実際に同じ国の者同士でこのようなやり取りがされているのだろうなと感心した場面でした。

「目で見たことしか信じない」鴻田と「あいつらはいつも嘘をつく」という有木野

どちらの言い分もよくわかる!とうなずいた場面でした。

私もどちらかというと外国人日本人問わず、相手のことは基本信じています。しかし、実際には嘘をつかれたこともあるし、平気で裏切る人たちがいることも見聞きしています。

でもやっぱり目の前の相手が困っていたら、何か力になりたい。

その結果裏切られたら、憤りはするかもしれないけれど、できるだけ心穏やかに諦めるようにしています。

鴻田の考え方が変わるのか、変わらないのか、そのあたりも楽しみに見守っていきたいです。

「東京サラダボウル」の魅力とおすすめポイント

最後に、私が印象に残った鴻田のセリフを引用しながら、ドラマの魅力を語りたいと思います!

シェンはこれから東京で暮らすのに、友達がいなくなっても誰も捜してくれなかった。助けてくれる国じゃなかった。そう思いながら日本で過ごすなんて孤独すぎる。

「東京サラダボウル」第1話より

シェンというのは中国人の女の子の名前で、第1話ではシェンの友達(キャンディー)の行方を捜すという話でした。

もう、このセリフは、そのまま、いつもいつも私が思っていることです。

そのまま過ぎて、胸がギューっとなりました。こんなに親身に考えてくれる人がいるなんて(創作だけど)涙が出そう。

住み慣れた自国から外国(日本)に来て、何か困ったことがあっても助けてくれる人がいない、誰に頼ればいいかもわからない、そんな思いを抱えながら外国で暮らし続けていくなんて無理です。心がやられてしまう。

私も外国に長年住んでいたので、シェンの気持ちや今日本に住んでいる外国人たちの気持ちが少しはわかると思います。

言葉がわからないせいで、正しい情報を得られない、誰かとコミュニケーションをとることも難しい。自分は無力だ。孤独だ。帰りたい。でも帰れない。

そんな状況にいる人を一人でも救いたい。だから私は、いつも学生たちの様子を気にかけ、声をかけたり、困っているときは何か手伝ってあげたいと思っています。

日本には助けてくれる人がいる、一人じゃない、と思ってもらえたら嬉しいです。

言葉の通じないこの状況で40時間、さぞ心細かったでしょう。でももう大丈夫だよ。

「東京サラダボウル」第1話より

ああ、こんな優しい言葉で寄り添ってもらえたら、涙も溢れますよね。

住み慣れない外国でこんな対応されたら…一気に好きになりますよね。

相手にこんなに寄り添える人ってなかなかいないと思います。鴻田の人間性、素晴らしいです。見習いたい!

そう、この鴻田のキャラクターが本当に魅力的で、私は一気に魅了されました。

ゲテモノ(?)好きなところも最高です。あの中華屋で一緒に食べたい。

「レタス頭」とされるミドリ髪も素敵です。自分を貫いているところが最高。こんな生き方したい。

ということで、このドラマの最大の魅力は鴻田の人間性だと思います。

そして、鴻田から学ぶ外国人たちへの向き合い方。

これからますます外国人が増える日本で、私たちはどのように彼らと向き合っていけばいいのか?そのヒントになるのではないかと思います。

今後が楽しみです!

ABOUT ME
べりー
べりー
繊細な冒険家
音楽やドラマ、映画、本が好きな二児の母です。動物愛強め。いろいろな国の(日本も含む)文化が好きで、日本語教師として働きつつ多文化共生講座も開催中。自分の生きづらさとも向き合いながら、みんなが安心して暮らせる社会を目指して活動しています。
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